安全運転管理者制度が義務化されるのはどんな事業所?対象となる車両台数や必要な手続を解説

「会社で車を5台以上使っているけど、安全運転管理者を選任する必要がある?」

「安全運転管理者制度が義務化されていると聞いたけど、何をすればいい?」

「今まで何もしていなかったけど、罰則はあるの?」

建設業、介護事業、訪問サービス業、営業会社など、仕事で複数の自動車を使用している事業者の方から、このようなご相談をいただくことがあります。

実は、一定台数以上の自動車を使用する事業所には、安全運転管理者を選任することが義務として定められています。

さらに近年は、飲酒運転防止対策をはじめとして、安全運転管理者が行うべき業務も拡充されています。

「とりあえず担当者を1人決めておけば大丈夫」という制度ではありません。

この記事では、安全運転管理者制度の義務化について、対象となる事業所、必要な手続、具体的な業務、選任しなかった場合の罰則まで分かりやすく解説します。


安全運転管理者制度とは?

安全運転管理者制度とは、一定台数以上の自動車を使用する事業所に対して、自動車の安全な運転を確保するための管理者を選任することを義務付ける制度です。

警察庁も、安全運転管理者について、自動車の使用者が一定の台数以上の自動車を使用する場合には、使用の本拠ごとに安全運転管理者を選任しなければならないとしています。

つまり、

「会社で車を使っているから、念のため安全運転管理者を置いておく」

というものではなく、法律上の義務として選任する必要がある制度です。


どんな事業所が安全運転管理者の選任義務の対象になる?

安全運転管理者の選任が必要になるかどうかは、基本的に事業所ごとに使用する自動車の台数によって判断します。

具体的には、次のいずれかに該当する場合です。

① 乗車定員11人以上の自動車を1台以上使用している

例えば、

  • マイクロバス
  • 送迎用バス
  • その他、乗車定員11人以上の自動車

などを使用している事業所は、1台以上で安全運転管理者の選任義務が生じます。

② その他の自動車を5台以上使用している

普通乗用車、軽自動車など、乗車定員11人未満の自動車については、原則として5台以上が基準となります。

例えば、

  • 営業車4台
  • 軽自動車2台
  • 訪問用車両1台

というように、事業所で使用する対象車両が合計5台以上となれば、安全運転管理者の選任が必要となる可能性があります。

警察庁も「乗車定員11人以上の自動車1台以上」または「その他の自動車5台以上」を安全運転管理者の選任基準として案内しています。


「会社全体で5台」ではなく「使用の本拠」ごとに考える

ここは非常に重要なポイントです。

安全運転管理者制度では、単純に「会社全体で何台車を持っているか」だけで判断するわけではありません。

自動車の使用の本拠ごとに考える必要があります。

例えば、

  • 本社:3台
  • 東村山営業所:3台
  • 小平営業所:2台

という会社の場合、会社全体では8台の車を使用しています。

しかし、それぞれの使用の本拠で使用する台数を確認する必要があります。

そのため、

「会社全体で8台だから必ず安全運転管理者が必要」

と単純に判断するのではなく、どの事業所で、どの車両を使用しているのかを確認することが重要です。


20台以上になると「副安全運転管理者」も必要

自動車の使用台数が増えると、安全運転管理者だけではなく、副安全運転管理者の選任も必要になります。

原則として、

  • 20台以上40台未満 → 副安全運転管理者1人
  • 40台以上 → 20台増すごとに1人追加

という仕組みになっています。

車両を多く使用する企業では、安全運転管理者だけを選任して終わりではありません。


安全運転管理者を選任したら何をするの?

ここも「名前だけの管理者」にしてはいけない重要なポイントです。

安全運転管理者には、運転者に対する交通安全教育など、自動車の安全な運転に必要な業務が求められています。

警察庁も、安全運転管理者の業務として、運転者に対する交通安全教育などを挙げています。

また、現在の制度では、例えば次のような管理が必要となります。

運転者の状況を把握する

誰が会社の車を運転しているのかを把握し、適切な安全管理を行います。

運転前後の酒気帯び確認

運転者について、運転前後の酒気帯びの有無を確認することも安全運転管理者の重要な業務です。

アルコール検知器を使用した確認

アルコール検知器を使用した確認も制度上求められています。

この酒気帯び確認等については、令和5年12月1日からアルコール検知器を使用した確認等が義務化されています。


「安全運転管理者を選任しただけ」では不十分

ここが、安全運転管理者制度を考えるうえで非常に重要なところです。

例えば、

「社長から社員のAさんを安全運転管理者に任命した」

これだけでは、制度への対応として十分とはいえません。

安全運転管理者には実際の安全管理業務があります。

そのため、

選任 → 届出 → 日々の安全運転管理

という流れで考える必要があります。

特に、

  • 運転者の把握
  • 酒気帯び確認
  • アルコール検知器の使用
  • 確認結果の記録・保存
  • 安全運転に関する教育
  • 運転者の健康状態や勤務状況への配慮

など、事業所として継続的に管理することが重要です。

前述のとおり、安全運転管理者制度は単に「管理者の名前を届け出る制度」ではなく、事業所における交通安全を実質的に確保するための制度なのです。


安全運転管理者を選任しないとどうなる?

「うちは今まで何もしていなかったから大丈夫」

という考えは危険です。

安全運転管理者の選任義務があるにもかかわらず、選任していない場合には罰則の対象となる可能性があります。

さらに、公安委員会からの是正措置命令などに従わない場合についても、罰則が設けられています。

つまり、

「選任義務があるのに何もしない」

という状態は、会社として看過できる問題ではありません。


こんな会社は一度確認してみてください

次のような事業者は、安全運転管理者制度への対応状況を確認することをおすすめします。

建設業

現場への移動などで、

  • 軽トラック
  • 軽バン
  • 普通車
  • 2tトラック

などを複数使用している。

介護・福祉事業

訪問介護、訪問看護、デイサービスなどで、複数の車両を使用している。

営業会社

営業担当者がそれぞれ社用車を使用している。

不動産会社

営業車や物件案内用の車両を複数使用している。

その他の事業者

「会社の所有車」だけではなく、業務上継続的に使用している車両が複数ある場合には、一度確認しておくと安心です。


「うちは5台に達していないから関係ない」とは限らない

ここにも注意が必要です。

安全運転管理者制度について、

「5台以上になったら考えればいい」

と思われがちですが、11人以上の乗車定員を持つ自動車については、1台以上で対象となります。

また、事業所の車両台数が増えたり、事業所を新設したり、車両の使用場所が変わったりすることで、制度の対象となるケースもあります。

そのため、車両を複数使用する会社では、

「今は対象ではないから一切確認しない」

のではなく、車両台数や使用状況に変化があった際に確認することが大切です。


安全運転管理者制度の「義務化」は会社の交通安全を見直すきっかけ

安全運転管理者制度は、単に警察へ書類を提出するための制度ではありません。

会社が業務で自動車を使用する以上、

「会社として、従業員の安全運転をどのように管理するのか」

を考えるための制度でもあります。

特に、社用車を複数使用している会社では、

「誰が車を運転しているのか」

「酒気帯び確認はきちんと行っているか」

「確認記録は残しているか」

「運転者への安全教育を行っているか」

など、日常的な管理体制を整えておくことが重要です。

警察庁も、安全運転管理者の確実な選任や業務の適正な実施を推進しています。令和7年7月には、安全運転管理者の選任促進と業務の適正な実施について、改めて通達が出されています。


「安全運転管理者が必要か分からない」という場合は早めの確認を

安全運転管理者制度は、

「うちは小さな会社だから関係ない」

とは限りません。

例えば従業員数がそれほど多くない会社でも、営業車や現場用車両などを複数使用していれば、選任義務が発生することがあります。

特に、

  • 車両を5台以上使用するようになった
  • 11人乗り以上の車両を導入した
  • 新しく営業所を開設した
  • 社用車が増えた
  • 今まで安全運転管理者を選任していなかった

という場合には、一度制度への対応状況を確認してみることをおすすめします。


まとめ|安全運転管理者制度は「選任して終わり」ではありません

安全運転管理者制度は、一定台数以上の自動車を使用する事業所にとって、法律上の重要な義務です。

基本的には、

11人以上の自動車 → 1台以上

その他の自動車 → 5台以上

が選任義務の大きな基準となります。

そして重要なのは、

「安全運転管理者を選任したか」だけではなく、「実際に安全運転管理を行っているか」

という点です。

社用車を使用する企業にとって、安全運転管理は従業員だけの問題ではありません。

会社として適切な管理体制を整え、交通事故や飲酒運転を防止することは、企業の重要な責任の一つです。

安全運転管理者制度の対象となるか分からない場合や、選任・届出についてお困りの場合は、早めに確認しておきましょう。


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東京多摩地域を中心に、安全運転管理者の選任・届出手続をサポートしております。

安全運転管理者制度は、「届出をして終わり」ではありません。

会社の車両台数や使用状況を確認し、現在の管理体制に問題がないかを一度整理してみることをおすすめします。

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