業際について
1・業際とは
行政書士のような士業における業際とは、各士業の職域(業として行って良い範囲)の境界のことをいい、弁護士、税理士、司法書士、社会保険労務士などの士業間ではこの問題が起こりやすいと言われています。
2・行政書士の法定独占業務
行政書士法には下記のように定められています。
・行政書士法第1条の第2第1項
行政書士は、他人の依頼を受け、報酬を得て、下記の法的書類を作成することを業とする。
(1)官公署に提出する書類
(2)権利義務に関する書類
(3)事実証明に関する書類(実施調査に基づく図面類を含む)
(4)上記(1)~(3)の作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録
・第1条の2第2項
他の法律において制限されているもの(=他士業法の業務独占規定に抵触する)については、業務を行うことができない。
3・注意しなければいけない点
基本的に許認可等の行政書士の業務については、一般市民が自身で行うことができますが、官公署への手続きについては、非常に複雑で手間と労力がかかり、報酬を支払ってでも代わりにやってもらいたいという方も多くいらっしゃいます。
そんなお客様の依頼に基づき、サポートするのが行政書士ではありますが、その業務によっては、最初から最後まで行政書士がやっていいものとそうではないものが少なからず存在します。
例えば、相続業務に関して、不動産等の登記手続き、依頼人からの「相続税はいくらか?」等といった質問に対して算定することも法に抵触します。
報酬を受けなければ大丈夫。
この考えも間違いです。
司法書士業務や税理士業務では、その法律で報酬要件が定めらておらず、報酬をもらわなくても違法になってしまいます。
特に相続関連業務においては、初めは紛争性が全く認められなくても途中で揉めだすこともあり、依頼人の為だと思って、紛争性が認めらてからは、無報酬で業務を行ったとしても十分に法に抵触する可能性があります。
自分を守るという意味でもキッパリと業務を断ることも重要です。
しかし、断ったとしても「そこから先は私は何も知りません」といって放置するのは、大変失礼ですので、適宜適切な専門家に引き継ぎを行う必要があります。
その点は、しっかりと依頼人に伝えなければいけません。
4・まとめ
行政書士にサポートを依頼したとしても細かく踏み込んではいけない業際というものが存在します。
どこの事務所でも業際については認識しており、その際にはしっかり依頼人に説明した上で専門家に引き継ぐか一緒に探す等して、依頼人が納得できる形で業務を完了させます。
一番は依頼人の利益を守ることというのは、研修を通じて学んできておりますので、安心して行政書士にサポートを依頼してみて下さい。