告訴事実を徹底解説~名誉棄損・侮辱罪編

1・名誉棄損罪・侮辱罪とは?

(1)名誉棄損とは?

公然事実等を指摘して人の名誉を傷つける(社会的評価を低下させる)行為のことをいいます。

ここでいう【事実】は、真実であるか虚偽であるかを問わないので、嘘の情報でも、他人の社会的評価を低下させていれば、名誉毀損となります。

(2)侮辱罪とは?

名誉棄損に酷似した犯罪としては、侮辱罪(事実を指せずとも公然と人を侮辱)などがありますが、名誉棄損罪との違いは、「事実を指摘するか」になります。

インターネット上での書込みを例にすると「バカ」「ブス」といった書き込みをすることは、何らかの「事実」を指摘してはいないので、侮辱罪となり、一方、インターネット上に「●●は、暴力団員であり、前科6犯を有する。」などと書き込んだ場合、事実を指摘しているので、名誉毀損罪になります。

2・公然性とは?

簡単に説明すると、不特定または多数の人が認識できる状態のことをいいます。

例としては

  • インターネット上での書込み(X、インスタグラム等のSNSや匿名掲示板を含む)
  • 公衆の場での発言(街頭演説や会議など、多くの人がいる場所での発言)
  • 特定少数の人への伝達(発言相手は少数でも、その相手から不特定多数へ情報が広まる可能性がある場合)
  • メール(複数の人に送られたメールなど、相手が特定少数でも、広まる可能性があれば公然性が認められる場合がある)

が挙げられます。

特にSNS等へのインターネット上の書込みについては、基本的に誰でも見られることが多いため、無条件で公然性が認められる可能性が高いです。

※1対1での対面での発言や1対1でのメールや手紙での発言については、公然性が認められない可能性が高いです。

3・告訴事実の解説

(1)名誉棄損罪(対面・施設内での名誉棄損)

被告訴人は、令和7年10月13日午後0時20頃(※1)、東京都東村山市秋津町●丁目●番●号社会福祉法人秋津苑内(※2)において、同苑入居者である秋津太郎(当時38歳)ほか34名に対し(※3)、「青葉●●さんの息子さん(告訴人)は、元々暴力団員で詐欺や傷害で何度も懲役に行っています。」(※4)などと大声で話し、もって、公然と事実を摘示し、告訴人の名誉を毀損したものである

※1→告訴状や被害届もそうですが、犯罪日時については被害に遭った時に誤差のない時計を見ていた等の特殊な事情でない限り、をつけるのが一般的です。

※2→警察署への告訴状や被害届に記載する住所については住居表示どおりに記載します。秋津町●ー●ー●等と略してはいけません。番地なのか番なのか等、正式な住居表示については自治体に確認すると教えてくれます。

また犯行場所が学校や施設などの建物内である場合には、その施設の正式名称を記載します。

※3→名誉棄損罪においては、公然と不特定多数が認識しうる状態であったことがポイントであるため、その場に居合わせた人数が判明していれば記載します。

※4→名誉棄損か侮辱かを判断するための事実の摘時に該当するかを判断する材料になります。被告訴人の言動等を正確に記載します。

※住所・氏名・施設名等については、全て仮名、仮称とする。

(2)名誉棄損罪(インターネット上での名誉棄損)

被告訴人は、MetaJapan株式会社が運営するInstagram上(※1)において、令和7年10月13日頃(※2)、虚偽情報を掲載して告訴人の名誉を毀損しようと企て、前記Instagram上に「●●は、元々暴力団員であり、詐欺や傷害で何度も逮捕され、懲役にも行っているので、皆さんも気を付けましょう。」(※3)等と投稿し、前記Instagramを利用する不特定かつ多数の利用者をして、前記内容を閲覧させ、もって公然と事実を摘示し、告訴人の名誉を毀損したものである。

※1→SNSや掲示板の運営会社を正確に記載します。ここでは例としてInstagramの運営会社を簡単に調べて記載しておりますが、正確なものなのかは保証しておりませんので御承知おき下さい。正式にご依頼頂けた場合には、運営会社を可能な限り調査し、正確に記載するように努めます。(捜査権限はないため、限界があることをご理解下さい。)

※2→SNSや掲示板であれば、書込みや投稿日時が分かることが多いと思いますので、証拠として保存したスクショ画像等に日時が残っていれば、その日時を記載します。

※3→名誉棄損か侮辱かを判断する重要な事実の部分になりますので、書込みの内容をそのまま記載することがポイントです。あまりにも長い書込みの場合には、犯罪事実に該当する部分を抜き出して記載する必要があります。その場合の記載例については、当事務所までお気軽にお問い合わせ下さい。

(3)侮辱罪(対面、口頭による)

被告訴人は、令和7年10月13日午後1時0分頃(※1)、東京都東村山市青葉町1丁目2番3号スナックあおば店内(※2)において、同店店内にいた店員や客約15名に対し(※3)、告訴人を指さした上、「この男はブスでアホなうえ、気持ち悪くて誰も近寄らない。」(※4)などと放言し、もって、公然と告訴人を侮辱したものである。

※1→対面や口頭による場合は、正確な時間を把握していることは稀でしょうから、大体の日時を記載します。

※2→犯行場所の住所地は、省略せずに正確に記載します。犯行場所が店舗内であれば、その店舗の正式名称を記載しましょう。

※3→公然と不特定多数の方が認識しうる状態であることが分かるように記載するのがポイントです。

※4→名誉棄損か侮辱かを判断するための事実の摘時に該当するかを判断する材料になります。被告訴人の言動等を正確に記載します。

3・まとめ

告訴状で最も重要なポイントである「告訴事実」ですが、記載する上では他の犯罪と明確に区別できるようにすることが大事です。

名誉棄損罪については、類似する犯罪に侮辱罪があります。

その違いについては、嘘かどうかは問わず、事実の摘示があるかどうかです。

SNSや掲示板等での犯行であれば、その書込み自体が削除されない限り、証拠として残っていることから書込み内容をそのまま告訴自事実に記載することが出来ますが、対面、口頭での犯行による場合は、正確に記憶していることの方が稀だと思います。

その際には、覚えている範囲で可能な範囲で記載していきますが、出来れば当時居合わせた人の証言等もあれば尚良いでしょう。

その都度、個別の事案ごとに何罪に該当するかを見極めなければなりません。

適切な罪名を記載することにより、告訴を受理してもらえる可能性は高くなるといっても過言ではありません。

また犯罪の日時・場所についても正確な情報を記載する必要があります。

告訴状を受理した警察は捜査を尽くさなければならず、告訴事実に基づいて捜査を進めていきます。

また名誉棄損罪や侮辱罪については、基本的には被告訴人が特定した状態で告訴するのが一般的であり、かつ親告罪とされているため犯人を知った日から6ヶ月以内に告訴する必要があり、時間的な余裕はそこまでありません。

適宜適切な行動をとり、告訴期間を超過しないように証拠資料や添付資料を揃える必要があります。

弊所では、名誉棄損罪・侮辱罪での告訴状の作成を取扱っています。

名誉棄損罪・侮辱罪での告訴状の受理は比較的ハードルが高いとされており、相談内容・証拠資料等の状況を鑑み、受理の可能性があるものについては、

基本料金33,000円
証拠資料を精査・報告書として作成(1つごと)+11,000円

という報酬金額で作成いたします。(告訴人1人、被告訴人1人等の単純な名誉棄損罪・侮辱罪の場合)

※100%受理されることを保証したものではありません。

※相談時に受理の可能性がない、若しくは限りなく低いと判断した場合には、お客様の金銭的支出を抑える意味でも受任はいたしませんので、ご承知おき下さい。

本来であれば、55,000円~からの報酬金額を設定しているものの、名誉棄損罪・侮辱罪においては、警察も何かと理由を付けて不受理となる傾向がありますので、弊所が作成した告訴状を警察へ提出した結果、不受理であった場合には、

(1)お客様自身で対応できる場合

警察からの不受理の理由からご自身で訂正が出来そうであれば、追加料金は頂きませんので、そのままお客様ご自身で訂正し、再度、警察へ提出して下さい。

(2)警察から追加で求められた内容が多かったり、複雑であった場合

+22,000円で警察からの訂正内容や追加資料を用意し、再度、作成いたします。

上記のように、お客様が保有する証拠資料等に不備がなく、単純に告訴状の作成のみを弊所へ依頼した場合には、33,000円~55,000円という比較的、安価な料金設定とさせていただいております。

告訴状の性質上、100%受理してもらえるといった保証はなく、1度で受理してもらえることの方が少ないとされていますので、当初は33,000円という価格で業務を受任し、後の判断はお客様にお任せした方が、お客様にとっても金銭的な負担が少ないと感じる次第です。

何かご不明点や疑問点があれば、お気軽にお問い合わせ下さい。

    お問い合わせは下記フォームからお願いします。

    電話での折り返し希望の有無

    告訴状に関する相談/告訴状の作成依頼/告訴状の添削サポートについては、北海道・青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・富山・石川・福井・山梨・長野・岐阜・静岡・愛知・三重・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・鳥取・島根・岡山・広島・山口・徳島・香川・愛媛・高知・福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄の47都道府県全国対応可能です。郵送/Zoom/電話/メール/公式LINEなどの方法によって、必要事項や証拠資料の確認が遠方でも出来ますのでお気軽にお問い合わせ下さい!

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