告訴事実を徹底解説 ~ 強要罪編

1.強要罪とは?

強要罪(刑法223条)

刑法第223条
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、 三年以下の拘禁刑に処する。
2 前項の未遂は、罰する。

強要罪とは、脅迫や暴行により相手を萎縮させて、 義務のない行為をさせること または 権利行使を妨害すること を禁止している犯罪です。単なる言葉の押し付けではなく、相手に恐怖や制圧状態を生じさせることが要件となります。


2.強要罪が成立するための要件

(1)客観的行為要件(暴行・脅迫)

強要罪では次の方法のいずれかを用いる必要があります。

  • 脅迫
    生命・身体・自由・名誉・財産に害を加える旨を告知すること。相手方またはその親族に対して告知した場合も含まれます。
    ※「害を加える旨」とは、危険・不利益を認識させる告知を意味します。
  • 暴行
    相手を恐怖させ、自由な意思決定を妨げる程度の力を用いること。これは単なる軽度の圧力ではなく、相当な強制力を含む場合もあります。

(2)行為の主体と結果要件

  • 主体
    行為者は自由意思で上記の暴行・脅迫行為を行った者であること。
  • 結果(義務ない行為の強要)
    義務のない行為をさせた場合、または権利の行使を妨害した場合、これらのどちらかが成否要件です。
    例:パワハラ的行為で土下座を強要した場合など。

(3)主観要件(故意)

行為者が 脅迫や暴行を用いて相手を屈服させようとする意図(故意) を持つことが必要であり、過失では成立しません。


3.告訴事実の解説※住所・氏名・施設名等は仮名・仮称とする。

強要罪

被告訴人は、令和7年12月30日午後4時0分頃(※1)、東京都西東京市芝久保町●丁目●番●号先路上(※2)において、告訴人に対し「お前が持っている書類を俺に渡せ、さもないとお前の評判を落とすぞ。」(※3)などと告げるとともに、同人の右手首を掴む等の暴行を加え(※4)、同人に対し、義務のない書類の提出を強要したものである。

※1→被害に遭った瞬間に正確な時計を見ていた等の特殊事情がない限り、「頃」を付けて記載します。また犯行状況を映した防犯カメラ画像があれば強力な証拠となります。時間をある程度特定することで警察が防犯カメラデータ取集に要する手間が必然と減ることと思います。

※2→警察署への告訴状や被害届に記載する住所については住居表示どおりに記載します。芝久保町●ー●ー●等と略してはいけません。番地なのか番なのか等、正式な住居表示については自治体に確認すると教えてくれます。

また犯行場所が学校や施設などの建物内である場合には、その施設の正式名称を記載します。

※3→犯行のきっかけがある場合には記載しますが、正確な言い回しを覚えていないときは、「〇〇」などと言われたことに腹を立て、といった表現で問題ありません。

※4→被告訴人の有形力の行使の部分についての方法は具体的に書きましょう。

例:右手で胸ぐらを掴んだ、肩を強く押した、顔の近くに向けて缶コーヒーを投げつけた、足に向かって蹴りを入れた 

などです。


4.強要罪で告訴する際の注意点

(1)脅迫と暴行の評価

脅迫・暴行の程度が強要罪成立の要否を握ります。単なる説得や強い表現のみでは成立しないことを念頭に置き、行為者の言動・状況を詳細に記載することが重要です。


(2)証拠収集の重要性

  • 録音・録画
  • メッセージの保存
  • 目撃者証言

証拠がなければ、警察の捜査が進みにくくなる場合があります。


(3)未遂も処罰対象

脅迫や暴行によって義務のない行為の強要に至らない未遂行為も処罰対象です。未遂事実としても告訴が可能です。

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5.まとめ

  1. 強要罪 は脅迫または暴行を用いて 義務のないことを行わせる権利行使を妨害する 行為を処罰する刑法犯です。
  2. 暴行・脅迫の具体的な状況を細かく記載し、告訴状に説得力を持たせましょう。
  3. 証拠の整理と適切な事実の記載が、告訴状を受理させるための重要な要素です。
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