安全運転管理者の業務はどこまで厳格にやればいいの?継続できなければ意味がない

本記事では、 運送業ではない一般事業者(建設業・不動産業・製造業等)が、安全運転管理者制度において

なぜ「簡易的・最低限の運用」で問題ないのか

を、法的根拠と実務の両面から解説します。


1・よくある誤解、運送業レベルの管理は必要?

「日常点検表は細かく書かなければならない」などの認識は、運送事業者向けの義務と混同しているケースがほとんどです。

一般事業者に求められるのは、

  • 車両の使用状況を把握していること
  • 事故防止のための管理体制があること

であり、運送業と同一水準の点検・記録義務は課されていません。


2・法律が求めているのは「様式」ではなく「管理実態」

安全運転管理者制度では、

  • 日常点検の具体的項目
  • 点検表の書式・様式

は定められていません。

重要なのは、

誰が ・いつ ・どの車両を ・どのように管理しているか

説明できることです。


3・最低限運用でも問題ない理由

当事務所が提案している運用は、以下の通りです。

■ 月間・最低限日常点検表

  • 業務で使用した日にチェック
  • 点検者(=当日の運転者)を明示
  • 点検項目は共通項目として集約
  • 管理者は月末に確認

※点検時に異常を発見した場合には、安全運転管理者に報告し、当該車両の使用を中止するような運用は必須。

この方式でも、

  • 点検内容が明示されている
  • 継続性がある
  • 管理者の関与が確認できる

ため、 安全運転管理者としての責務を果たしていると評価されます。

本来であれば、運送業者と同等レベルでの点検を実施すれば問題はありませんが、運送業者以外の業者に対して、運送業者と同等レベルの点検を行うことを望むのは現実的ではありませんし、間違いなく形骸化し、継続しないでしょう。

形骸化させずに、かつ、しっかりと続けられる形をとることが重要です。


4・点検項目を「共通」にして問題ない理由

一般事業者の場合、

  • 毎日ボンネットを開ける
  • 液量を全項目チェックする

といった運用は、 現実的ではありません。

そのため、

  • タイヤ
  • ブレーキ
  • 灯火類
  • ワイパー
  • 警告灯・異音異臭

など、 事故防止に直結する主要項目を共通項目として確認する方法が 合理的です。


5・続かない管理は「やっていない」のと同じ

実務上よくあるのが、

  • 最初だけ完璧
  • 3か月で空欄
  • 結局誰も見ていない
  • 何かあってから過去に遡ってチェックしたことにしている(書類上だけ完璧にする)

というケースです。

安全運転管理者制度では、

完璧な管理より、継続している管理

の方が重要です。

その結果、重大な事故を発生させない事が一番大切です。


6・指摘を受けた場合の説明例

万が一、警察等から質問を受けた場合でも、 次のように説明できます。

当社は運送業ではないため、 詳細な日常点検義務はありません。 その上で、事故防止に直結する項目を抽出し、 業務使用日に運転者本人が確認・記録しています

この説明は、法的にも実務的にも問題ありません。

もちろん細かくやることに越したことはありませんよ。

7・まとめ

安全運転管理者制度は、「とにかく全部やる」ものでも、「何もしなくていい」ものでもありません。

自社内で対応できず、近所だからといって、近くの行政書士に安全運転管理者制度の月次サポートを外注していた場合、現場を知らないことから、

「とりあえず、運送業と同じ基準でやっておけば問題ありません。」

などと言われてしまいます。

でも運送業と同じ基準で継続することは、運送業以外の業者にとっては継続するはずがないのです。

同じ基準でやる必要があるのなら、それはもう運送業と同じです。

私は、元警察官として道路交通法の実務を理解し、元運送業出身として現場の負担も熟知しています。
その経験を活かし、東村山市・東久留米市・清瀬市・小平市・所沢市など多摩地域の一般企業様向けに、無理なく続けられる安全運転管理者サポートを提供しています。

書類作成だけで終わらせるのではなく、日常業務に支障を出さず、実際に「続けられる」体制づくりを重視しています。

安全運転管理者制度に不安を感じている事業者様は、まずはお気軽にご相談ください。

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