風営法第1号許可とは?

風俗営業1号許可、略して「風営1号」と呼称したりします。

通常の飲食店とは違い、キャバクラやスナック等の飲食店おいて「接待」をする場合には警察署から許可をもらわなければなりません。

接待をしないのであれば、許可は不要ですので、ご安心ください。

風営法全般にいえることですが、用途地域や保全対象施設からの距離制限等、様々な基準や制限もあります。

1・接待とは?

(1)接待の例

簡単に言うと普通の居酒屋のような接客であれば接待にあたりません。

下記に接待の例について簡単に記載していきます。

◆接待の例

  • 客の隣に座って接客する。
  • お酌する。
  • 一緒にカラオケを歌う。
  • 一緒にダンスをする。

等をいいます。

またカウンター越しだとしても談笑時間などによっては接待とみられます。

◆接待に当たらないとされる行為

  • 挨拶や短い世間話。
  • 注文されたのを席に持っていく。
  • 酒を作ったりお酌するけどすぐに立ち去る。
  • カラオケあるから歌いたい人は勝手に歌ってもらう。
  • ゲームしたい人は勝手にやってもらう。
  • 酔っ払いの介抱のためのしょうがない接触。

等は警察庁の基準において接待に当たらないとされています。

(2)接待の定義

風営法における重要な基準となり、接待に該当するか否かで飲食店営業許可になるか、風営法1号許可が変わってきます。

接待の定義

歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと。(風営法第2条第3項)

とあり、ポイントはもてなす行為であることです。

これは単なる接客とは明確に区別されます。

「特定の客」や「特定少数の客」等、ホストクラブやキャバクラでキャストさんがついた人・グループを想像していただけると分かりやすいかと思います。

接待する側とされる側に性別は関係ないので、ホストクラブも接待ですし、女性同士、男性同士でも接待になりえます。

ホストクラブやキャバクラのような業態に限らず、ガールズバーとかの名称でカウンター越しでも会話するのであれば接待になることもあります。

(3)接待をしないならしないで徹底する。

店のサービスが接待にあたると、問答無用で風営1号許可の対象になり、風営1号許可をとると深夜24時までしか営業ができません。

接待をするかしないか、店舗運営にあたって重大な判断になるので慎重に検討してください。

風営1号許可をとらないのであれば接待にあたることをしないよう気をつけましょう。

警察は飲食店や繁華街などを巡回して、風営1号許可をとらずに接待をしていないか、風営1号許可をとってるところが深夜24時を過ぎて営業していないか、を確認しています。

警察にバレなければ大丈夫という考えに至るかもしれませんが、私の経験上、必ずバレると思って下さい。

騒音の苦情等の110番通報、又は同業ライバル店や周辺住民から警察に情報提供が結構な数あります。

その情報提供を元に生活安全課のガサ入れの応援に何度か行った経験があります。

2・各種要件について~営業時間は原則24時までです。

風営1号で接待の規制の他にも一般的に知られていないのは営業時間ですが、一般市民からしてみると24時以降も営業してるイメージがあります。

しかし、風営法における営業時間は原則24時までとなっています。

※延長可能な地域もありますので、確認する必要があります。

24時まで営業とは「24時までに客を店外に出す」ということなので、営業時間は23時30分等に設定し、24時には客が店内にいない状態にしなければなりません。

(1)比較表

よくどちらにするか選択することになる深夜酒類届出との比較です。

風俗営業1号許可深夜酒類届出
接待 できる接待できない
営業時間 原則24時まで営業時間 制限なし
18歳未満客の入店 禁止18歳未満客の入店 午後10時以降から午前6時まで禁止
飲食店営業許可 いる飲食店営業許可 いる
欠格要件(人的要件) ある欠格要件(人的要件) ない(飲食店営業許可にある)
店舗の場所 制限あり店舗の場所 制限あり
外から店内が見えないように しないといけない外から店内が見えないように しなくていい
照明の明るさ 5ルクス以下はダメ照明の明るさ 20ルクス以下はダメ
照明スイッチ スライダックス(調光機能つき)はダメ照明スイッチ スライダックス(調光機能つき)はダメ
客室が2室以上ある 1室16.5㎡以上客室が2室以上ある 1室9.5㎡以上
申請手数料(証紙代) 24,000円申請手数料(証紙代) ない~(届出)
立会い検査 ある立会い検査 だいたいあると思った方がよい
営業開始できるまでの期間 約2ヶ月後営業開始できるまでの期間 届出から10日後
従業員名簿 備え付け義務従業員名簿 備え付け義務

(2)主な要件

(1)人的要件
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は一定の罪を犯して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
  • 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等を行うおそれのある者
  • アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
  • 心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者
  • 風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない者
  • 営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者
  • 法人の役員、法定代理人が上記1から6までのいずれかに該当する者があるとき

通常は営業者の人的要件が問われますが、法人の場合は取締役だけでなく役員およびそれに準ずるもの全員について要件の確認が必要です。

(2)場所的要件

大事なのは物件の「賃貸借契約を結ぶ前」にチェックすることです。用途地域によっては、そもそも風俗営業が許されません。内装工事をした後に「この建物では営業できない。」等といった可能性も0ではありません。

用途地域には下記表のようなものがあります。

(3)風俗営業ができる用途地域
  • 商業地域
  • 近隣商業地域
  • 準工業地域

この3つが基本的に営業可能とされています。

(4)原則営業できない用途地域
  • 第一種・第二種低層住居専用地域
  • 第一種・第二種中高層住居専用地域
  • 第一種・第二種住居地域
  • 準住居地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域
    → これらは住環境保護や工業専用性の観点から、風俗営業はできません。

※工業系地域と近隣商業地域については建築基準法で規制がかかってますので、風営法では禁止されていないが建築基準法では制限されているといったケースもありますので警察や自治体と協議を行う必要があります。

(5)注意点
  • 上記「営業可能」な地域であっても、各自治体の 条例で制限 がかかっている場合があります。(例えば、学校や病院、図書館など一定の施設から●●m以内は禁止など)。
  • 許可を受けるには、用途地域だけでなく 建物の構造要件(採光、出入口の配置、防音など)も審査対象です。
(6)営業所
  • 客室面積→洋室の場合、1室16.5㎡以上(1室しかなければもっと狭くていい)

※メインの客室の他にVIPルームのような別部屋を作るのであれば16.5㎡以上ないといけません。

  • 見通しを妨げる設備→客室内に1m以上のイスや仕切りなどがないこと。
  • 施錠→客室へのメイン出入口以外の客室の扉にカギをかけられないようにすること。
  • 照明→営業所内の明るさが5ルクス以下にならないこと。

※基準以下の明るさになるといけないので調光機能があるスイッチ(スライダックス)はオンオフスイッチにしなければなりません。

オンオフスイッチ

スライダックスは、ダメです。

3・図面作成

不動産業者などからもらえるような建築士が書いた図面では壁芯で測量してるかもしれませんが、添付する図面の客室面積等は内壁で寸法を記載しないといけないので寸法の測り方が違うのが特徴的です。

手書きでもよいこととなっていますが、JW-CADというフリーソフトを使用して作成している方がほとんどです。

(1)平面図

客室とその他の部屋などの面積やイス、テーブルなどの配置。

(2)照明設備図面

照明の配置、数、種類、設置されている高さ、W数。

(3)音響設備図面

カラオケやテレビ、スピーカーの配置、数、メーカー、寸法など。

(4)防音設備図面

壁の厚さなど。

(5)その他設備

カウンター、イス・テーブルの数、寸法など。

4・実査について

風俗営業許可の実査(じっさ)とは、申請内容と実際の店舗に相違がないか、完成後の店舗を訪れて調査することであり、実査をクリアしなければ風俗営業許可は取得不可となるため、開業に向けた大変重要な検査となります。

検査日は申請より2~4週間後、管轄の警察署により指定された日時に実施されますが、重要なポイントは「店舗が営業可能な状態である」ことです。

保健所が管轄する飲食店営業許可では基本的に、調理場とトイレの水回りが出来ていれば許可は下りますが、風営法申請における実査では工事道具などが置いてある状態でもダメなので内装工事だけでなく、備品の設置に至るまで完了している必要があります。

営業ができる状態で実査を受けるのが条件となっています。

不備がなければ許可は申請してから概ね2ヶ月(標準処理期間55日・官公庁の閉庁日は除く)で下ります。

実査終了後しばらく審査期間があった後、晴れて許可証の交付となります。

5・許可後も巡回が行われます。

警察は許可後も巡回してちゃんと申請内容通りに営業してるかを確認します。

営業時間や店舗の内装が変わってないかもそうですが、従業者名簿を備えているかもチェックします。

常時出勤している方だけではなく、1日だけ出勤した方も対象であり、従業者名簿は未成年者や外国人の不法就労などのチェックのため、住民票や運転免許証などと合わせて全員分を保管することになっています。

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